展示会出展を継続して成功に導く効果測定とは?KPI設定とROI分析のポイント
こんにちは。展示会営業担当の平山です。
普段は展示会出展企業のブース装飾を提案しています。
新型コロナウイルスの影響で展示会が一斉に開催自粛をして約半年…。
9月頃からようやく展示会開催が再開され始めました。
展示会は出展社にとって貴重な顧客獲得の場で、どの出展社も「展示会を成功させたい」一心で準備を進めます。
ただ一方で大きな成果を残す出展社もいれば、高額な出展費用を払って思うような結果が出ない出展社がいることも事実です。
毎年出展していても継続して結果を出すことが難しいのが展示会です。
では結果を出すために何をすれば良いのでしょうか。
私は回数を重ねる毎に改善していくためのPDCAを構築することが必要だと考えています。
今回は「継続して展示会出展を成功に導くPDCA」というテーマで、私が日々の営業で出展社から聞いた話や会場に行って感じたことを元に、KPI設定(目標設計)とROI分析(振り返り)のポイントをお伝えしていきます。
目次
展示会出展のメリットとは?
なぜ企業は展示会に出展するのでしょうか?
・新規顧客を獲得するため
・製品やサービスの認知拡大を図るため
・既存顧客との関係性を構築するため
など多くの理由があると思います。
私は展示会に出展する最大のメリットは「短期間で多くの見込み顧客と接触できる」ことにあると考えています。
東京モーターショーなどを除き展示会の会期は2~4日間であることが多いです。
規模が大きな展示会の場合、3日間で3~6万人の来場者が訪れます。
展示会はテーマ毎に開催され、来場者はそのテーマに興味を持って来場するため、出展社にとって全ての来場者が顧客になり得ると言っても過言ではありません。
ここで重要なのは「短期間」という事です。
この期間でこれだけの見込み顧客を集めることは、他のどの営業活動でも実現できません。
「限られた時間の中でどれだけ多くの見込み顧客と接触できるか。」
展示会出展において、これが最大のテーマと言えます。
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まずはターゲット選定!
展示会に出展するにあたり、まず必要なことは「ターゲット選定」です。
ターゲットは「職種」や「役職」、「業界」、「企業規模」、「新規/既存顧客」などから設定するのが一般的です。
その中で最初に気を付けるべきなのは「業界」です。
先ほど触れたように展示会は「自動車」や「工作機械」、「ファッション」、「化粧品」など様々なテーマ毎に開催されます。
ここで獲得したい業界にアプローチできない展示会に出展してしまうと大きな機会損失となってしまいます。
業界をまたぐ汎用性の高い事業でも、ニッチな事業でもどの展示会に出展するかが展示会の成功を左右する最初のポイントです。
ターゲットとなる「業界」を選定することは、出展する展示会を選定することと同義と言えます。
ターゲット選定が明確であれば、「出展する展示会」や「出展製品」、「来場者に伝えるメッセージ」、「ブースのコンセプト」、「会期中のオペレーション」などが明確になり、より効果的に来場者にアプローチすることができます。
展示会出展の目標とKPI設定~どの指標が適切か?~
私はブース装飾の提案をする際、最初に出展する目的をお伺いするようにしています。
「新規顧客を獲得したい」「製品の認知を高めたい」「既存の顧客に新製品をPRしたい」など様々な目的を伺ってきましたが、どの出展社にも共通しているのは「出展にかかる費用以上の成果を残したい」ということです。
展示会に出展するためには、主催者に支払う出展費用・ブース装飾費用・カタログやノベルティなど販促品の製作費用・社員の出張費など多くの費用が発生します。
裏を返せばそれだけ投資をしても、投資以上のリターンが返ってくるポテンシャルが展示会にはあると言えます。
しかし「出展費用以上の成果を残す」という出展社の共通命題を実現するためには気をつけるべき点があります。
それが「成約までのリードタイム」です。
例えば月々3万円で導入できる営業支援ツールと導入に1,000万円かかる会計システムでは、導入企業側で導入までの稟議行程も検討期間も大きく異なるはずです。
商材によっては、最初に製品を紹介してから成約までに数年規模で期間が発生することもあるでしょう。
その場合、翌年にはまた展示会の時期が来てしまい、昨年の振り返りも出来ないまま展示会に臨むことになってしまいます。
1年に複数の展示会に出展する企業などは、更に振り返りが難しくなってしまいます。
この時に設定しておきたいのが「KPI」です。
「KPI」はKey Performance Indicatorsの略で、日本語に翻訳すると「重要業績評価指標」です。
分かりやすく説明すると組織の達成目標(売上高など)に対して、目標達成度合いを評価する評価指標です。
目標達成に向けたプロセスにおける達成度を把握し評価するための「中間目標」として非常に有効なのがKPIです。
展示会出展において「KPI」に設定されやすい指標として、
・来場者のコンバージョン率(成約率)
・商談数
・新規リード(名刺獲得)数
・ブースへの訪問者数
などがあります。
どの指標が展示会出展の「KPI」として適切か判断する際は「成約までのリードタイム」を合わせて考える必要があります。
「成約までのリードタイム」が短期間の場合、来場者のコンバージョン率をKPIとして設定すると、展示会出展全体の費用対効果を評価することができます。
逆に「成約までのリードタイム」が長期間にわたる場合は、新規リード(名刺獲得)数をKPIとして設定すると、次の展示会出展に際して前回の出展を元に改善することができます。
また新規リード数を成約可能性などでランク分けすることで、コンバージョン率の予測を立てる事もでき、更に改善精度を高めることができます。
withコロナ展示会において設定すべきKPI指標とは?
冒頭でも触れましたが、新型コロナウイルスの影響で2020年3月から8月までの期間、展示会はほとんど開催されませんでした。
9月以降、徐々に開催されるようになっていますがコロナ禍前と比較すると大きく状況が変わっています。
中でも出展社の頭を悩ませているのは「来場者数の大幅な減少」だと思います。
9月開催の展示会の来場者数は昨年比で平均7割減(弊社調べ)で、新型コロナウイルスの影響が顕著に表れています。
事実として展示会に出展するメリットは大きく損なわれてしまっています。
しかし、出展した企業にヒアリングすると意外にも好意的な意見が出てくることも多いです。
中でもよく聞かれるのは「コロナ禍前よりも来場者が話を聞いてくれる」「温度感が高い来場者が多い」の2つです。
これに伴い展示会出展の際に設定すべきKPI指標にも変化が必要です。
純粋な新規リード数や商談数ではなく、更に細かくランク分けをした有効(温度感が高い)リード数や有効商談数などをKPIとして設定することで、withコロナ展示会に対応しながら成果を出していけると考えています。
展示会出展後の振り返りはROI分析と環境の二軸で!
継続して展示会出展を成功させるためには、展示会出展ごとに振り返りをして次に生かしていくことが必要です。
それではどのように振り返りをすれば良いのでしょうか。
ここで思い出して頂きたいのは、前述した展示会出展社の共通命題、「出展費用以上の成果を残す」ことです。振り返りはこの共通命題を軸に行っていくのが良いでしょう。
この共通命題を最も分かりやすく表すのはROI(Return On Investment)、日本語に翻訳すると「投資に対するリターン」です。
ROIの計算式は、
ROI(%)=(売上-売上原価-投資)÷投資×100
でROIの値が高いほど投資した資本あたりの利益が大きいという事になります。
ROIを算出するためには売上が数値として必要ですが、リードタイムが長い商材の場合は有効リードのランクによって算出した予測売上でも十分です。
ROIを使って展示会出展後の振り返りをすることも、私がKPIに有効リード数や有効商談数を設定することを勧める理由の一つです。
また展示会においては、会場におけるブースの位置や小間の大きさ、はたまた天候まで様々な外部要因が結果に影響を与えます。
このような外部要因も一緒に振り返ることで、次回の出展位置や小間の大きさの検討にも活かすことができ、更に成功に繋がりやすい展示会出展の土台作りが出来ます。
まとめ~PDCAで展示会出展を変化させていくことが重要!~
以上「継続して展示会出展を成功に導くPDCA」というテーマで、展示会出展におけるKPI設定やROI分析をご紹介させて頂きましたが、いかがだったでしょうか。
展示会ブースの装飾会社でこのような内容の記事は珍しいかもしれませんが、展示会出展に関わらせて頂く上で「成功してほしい」という思いで日々展示会ブースをご提案させて頂いております。
また会期中のオペレーションや営業社員の人員配置、有効リード数などKPI指標の振り返りに基づいた改善策をご提案させて頂くこともございます。
リード数が150%アップした事例などご紹介させて頂く事も出来ますので、ご興味を持って頂けましたら是非お気軽にご相談ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!